鳥取地方裁判所 昭和42年(ヲ)52号 決定
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〔決定理由〕申立人本人の審尋の結果によると、本件異議申立にかかる差押がなされたこと、申立人は田六反と畑三畝とを他に職をもたないその妻とともに耕作し、かつ保険外交員の仕事をもしている兼業農業者であるところ、同目録記載の(1)の物件は、ガソリンエンジンを動力とし、右の田畑の耕作および農産物、農機具、肥料等の運搬の用に供される耕運機であつて申立人やその妻により殆んど一年中右の耕作や運搬のために使用されているものであることが認められるから、右の農業経営の規模、態様と右物件の用途やその使用期間等を考えあわすとき、右物件は申立人およびその妻の労役によつて営んでいる農業のため欠くことのできない物件であると解するのが相当であり、従つて、これは民訴五七〇条一項四号所定の差押禁止物に当るとみとむべきである。
しかし、一方、同目録記載の(2)、(3)の物件については、前同様同結果によれば、同(2)の物件は同(3)の物件<注、自動脱穀機>のための動力エンジン(灯油による)であつて、これらはともに申立人方において秋の稲の脱穀のため五日間位、春の麦の脱穀等のため数日使用されるにすぎないものであることが認めらるれし、またこのような機械をもたず必要時に他から数日借り受けてこれを使用している小規模な農家もないわけではないことがうかがわれるのであるから、申立人の農業経営の規模、態様ならびに同(2)、(3)の物件の用途とその使用期間および他からの借受の可能性等を勘案するとき、右各物件が申立人方の農業経営上、有用かつ便利なものであることは充分に理解することができるけれども、これらを目して同条同項同号にいう農業上欠くことのできない農具に当るとはいまだ解することができない。(海老塚和衛)